火災保険地図
火災保険地図(火災保険特殊地図,火保図などとも)は,火災保険の料率算定のための(と言われている)基礎資料として,戦前期から戦後直後に,民間会社によって作製された地図です。
火災保険地図の作製者としては,沼尻長治によって昭和3年に設立された地図研究所とその後身の会社がよく知られています。この火保図は,主に火災保険会社からの依頼によって作製され,火災の危険性が高い密集地を対象とし,保険会社にとって有用な情報(防火や火災の危険性に関係する建物の構造や階高,用途,消火栓の位置や道路の幅員などの情報)が記載されています。縮尺は,おおよそ1/600?1/1,200の大縮尺です。沼尻長治は自身が作製した火災保険地図を「火災保険特殊地図」と名付けました。
これまで,東京などの日本国内の火保図は,研究の面でも良く用いられていましたが,新たに樺太や台湾の火保図を千代田区立日比谷図書文化館で見出すことができ,研究を進めています。
その後,さらに,戦前期の東京の火災保険特殊地図の原図を閲覧する機会を得ることができ,こちらについても研究を進めています。
○戦前期の東京の火災保険地図(火災保険特殊地図)の復刻出版が進行中です(2024年4月から刊行開始,全ての巻の編集は辻原が担当)。パンフレットはこちらから。
○日比谷図書文化館で見出した台湾と樺太の火災保険地図(火災保険特殊地図)を復刻出版していただきました。
復刻出版
復刻出版の別冊(解題)
○火災保険地図に関連して発表した論文などは,下記の通りです。
査読付き論文
○火災保険地図に関連する講演などは,下記の通りです。
講演
【参考】上記の復刻出版や論文などと一部内容が重なっているので参考として
- [7]辻原万規彦:火災保険地図が「国民防空」体制の構築に与えた影響,日本建築学会九州支部研究報告,第64号?3〔計画系〕,A4判4ページ,2025.3.
- [6]辻原万規彦:戦前期東京を対象とした地図研究所による火災保険特殊地図,日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集,建築歴史?意匠,pp.561?562,2024.8.[PDF File (1.1MB)]
- [5]辻原万規彦:地図研究所による日本における火災保険特殊地図の概要,日本建築学会九州支部研究報告,第63号?3〔計画系〕,pp.557?560,2024.3.[PDF File (724KB)]
- [4]辻原万規彦,角哲:戦前期における樺太の大縮尺都市地図の概要,日本建築学会大会(東北)学術講演梗概集,F-2,pp.67?68,2018.9.[PDF File (308KB)]
- [3]辻原万規彦,青井哲人,角哲:『戦前期外地火災保険特殊地図集成』について,平成30年度日本地図学会定期大会発表論文?資料集,pp.8?9,2018.8.
- [2]辻原万規彦,角哲:戦前期における樺太の大縮尺都市地図の収集と整理,日本建築学会九州支部研究報告,第57号?3〔計画系〕,pp.677?680,2018.3.[PDF File (523KB)]
- [1]辻原万規彦,角哲,青井哲人:千代田区立日比谷図書文化館所蔵の火災保険特殊地図の概要,日本建築学会大会(九州)学術講演梗概集,F-2,pp.843?844,2016.8.[PDF File (857KB)]